SISOC TOKYO 発足セミナー サイバー空間の展望と利活用

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セキュア情報化社会研究寄付講座 副グループ長
東京電機大学 未来科学研究科 教授   安 田 浩 教授

 最後に安田教授より、「どうして国としても、個人としてもサイバー空間から逃げられないのか。」その理由について理解して、やらなければいけないと理解いただきたい、と講演が始まった。

覇権空間の変遷と人間機能拡張の歴史

 昔は、モンゴル帝国が頑張り、次にイギリスやスペインが頑張り、海を何とかしようとした。その後、飛行機が出来て、制空権が問題となった。

それが今は「宇宙」で、一番のポイントは、GPSシステムだ。GPSが無いと、自動車の自動運転などできない。日本は、衛星を独自に持っていなくて、アメリカに頼っている。もし協力が得られないと、実用化できない危機感が有る。

その上で、コンピュータ・サイバー空間が新しく出来た。人間の能力をコントロールできるようになる。宇宙までは物理空間であるが、サイバー空間をやらないと負ける。コンピュータ・サイバーは、今は(個人の)記憶や判断、安心安全やインターフェイスの手助けをするもので、無いと困る

マルチメディアの進化の系譜

 まず「可視化」して、視えるようにするのが大事。電話からテレビ、そしてスマホになり、簡単に視えるようになった。次は、「検索」して、沢山の情報を処理する能力が無いといけない。もう一つは、一遍に沢山の事ができないといけない。デジタル化でパケット通信を行い、ほぼ同時に100人でもコントロールできるようになった。「Web」から「スマホ」、「クラウド」が出来て、要素が揃った。

真のコミュニケーション

 通信には、「1:1」しか無い。放送は、「1:N」であるが、双方向ではなく、完全なことはできない。そして通信と放送の融合を考え、「N:N」でテレコミュニケーションを行う。それがWebだ。この能力を使わないと負けることは明白。だから、逃げられない。

サイバー空間の利活用のためには

 まず情報を沢山集めなさい。そしてそれを理解すること。語学のハンデなど、なんとか乗り越えなければいけない。次に自分なりに理解したものを持っていないといけない。最も大事なのは、これが安全安心な環境でできないと、うまくはいかない。

サイバー空間の利活用は時代の必然

 テレコミュニケーションを使ってやろうとすると、悪い事が出てくる。どうしてそうなったか。「物理空間」には、同じものが存在しない。(双子でも立っている物理空間が違う。)一方、サイバー空間は、ルールベースである。ルールが曖昧だと、2つ、3つ存在することになる。まずやらないと駄目なことは、「ルールベース」。ルールを絶対に守ることを保証しないと、なりすましなど出てくる。

もう一つは、遠隔で操作が出来ること。遠隔のネットワークが保証されないと、誰が何をやっているのか、わからない。なので、サイバーセキュリティが大事となってくる。

セキュリティのパラダイムシフト

 コンピュータは安全か。(ハード、ソフト、メモリがセキュアであること。)セキュアカーネル技術があれば、端末も安全になる。ネットワークについて、暗号か何か使えば、ある程度マネジメントできる。

T-CIRP / CIRP養成のための取組み

 教育された人が、社会に受け入れられる制度、政策を作る。もう一つが、教育をやるための手段の場所を整備するのが目的。今までの教育は、技術に偏っていた。いかに社会的な意味で見るか、法、倫理、心理、経済などを取り入れて、サイバーセキュリティを見ないといけない。もう一つ、日本の技術を磨きたい。特に「セキュアカーネル」「認証」の2つはキーですから、何とかしたい。

今までのセキュリティ監査は、全てチェックリストベース。きちんと見ないで、チェックして100点では困る。本当に、この数値で、こうなったら安全だと、きちんと物理量で把握できる様なセキュリティ技術あるいは、ハードを作らないといけない。

そういうことで、具体的な研究と社会的な研究と本当の意味できっちりした核を作る。同時に、皆に来てもらって、一緒にやろうと思っている。私はこういうことをやってみたいとおっしゃっていただき、是非来てください。一緒にやりましょう、と講演を締めくくった。

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