ごあいさつ

 この度、東京大学大学院情報学環では、三吉野健滋氏のご寄付により、セキュア情報化社会研究寄付講座を設立しました。
 今後、情報セキュリティおよびその学際領域の研究、生体情報によるID管理および本人認証技術に関する研究、高度セキュリティ専門家及び実務者の教育・養成を行います。諸外国を含むさまざまな教育・研究機関と連携し、情報セキュリティ分野における最先端の研究と人材育成を目指します。
 現在、「産業革命」に匹敵するとされる「情報革命」が進行しています。IoT、クラウドコンピューティング、AI、ビッグデータなどの積極的利活用により、世界中の人々の個人情報が巨大なデータとしてWeb上に可視化・数値化され、人々は、市民生活から切り離せない形で、Webにアクセスしながら暮らすようになっていきます。
 ネットワーク社会では、サイバー攻撃の激化、欺瞞サービスの横行、公共情報・個人情報の漏洩といったセキュリティ問題への対策が、喫緊の課題となっています。
 ネットワーク社会の、あらゆる活動のデータアクセスセキュリティの完全性を高めるために、Webアクセスのフロントエンドにおける、生体認証によるID管理・本人確認は、もっとも必要とされるセキュリティ技術のひとつといえるでしょう。
 ネットワーク社会において、一方では、管理社会・監視社会の全面化への危惧があります。他方では、こうしたセキュリティ技術に支えられ、マイナンバー制度やクラウドコンピューティングの普及と結びついたWebが、社会にもたらすイノベーションの恩恵もあります。この危惧と恩恵の二面性を、工学的技術探究のみならず社会科学との学際的な場で考察することが重要であると考えています。セキュリティと本人認証の問題は、応用技術的な問題としてだけではなく、学際領域的な問題としても研究されていかねばならないと、私たちは考えています。
 今後とも多くの方々との連携とご支援を何卒よろしくお願いいたします。

グループ長略歴

東京大学大学院経済学研究科博士課程修了、経済学博士(東京大学)。

静岡大学助教授、東京大学助教授を経て、1999年4月より東京大学教授、現在、東京大学総合教育研究センター長。東京大学大学院情報学環長・学際情報学府長(2012年4月―2015年3月)を歴任。この間、ストックホルム経済大学(Stockholm School of Economics)客員教授(1995)、参議院商工委員会客員調査員(1997)、筑波大学先端学際領域研究センター客員研究員(1995-1998)、NTTサービスインテグレーション基盤研究所リサーチ・プロフェッサー(1997-1999)、日本経団連21世紀政策研究所主幹研究員(2008-2009)、国立情報学研究所客教授(2010-2014)、地方公共団体情報システム機構代表者会議委員(2014-)などを兼務。

また、政府「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部地方創生IT利活用推進会議」有識者(2015-)
総務省情報通信審議会委員(2011-)
総務省情報通信審議会情報通信政策部会長(2011-)
総務省事業評価外部有識者(2013-)
総務省「ICT成長戦略推進会議」構成員(2013-)
総務省「地方のポテンシャルを引き出すテレワークやWi-Fi等の活用に関する研究会」座長(2014-)
総務省「2020年に向けた社会全体のICT化推進の在り方に関する懇談会」構成員(2014-)
総務省「地方公共団体における番号制度の活用に関する研究会」座長(2011-)
法務省「戸籍制度に関する研究会」委員(2014-)
国土交通省「自動車関連情報の利活用にかかる将来ビジョン検討会」座長(2014-2015)
政府IT総合戦略本部「新戦略推進専門調査会電子行政分科会」委員(2013-)
政府IT総合戦略本部「新戦略推進専門調査会マイナンバー等分科会」委員(2014-)
内閣府「地方分権改革有識者会議雇用専門部会」委員(2013)
「総合科学技術会議情報通信分野推進戦略プロジェクトチーム」委員(2006-2011)
政府「次世代電子行政サービス基盤等検討プロジェクトチーム」座長(2007-2010)
政府「IT戦略本部評価専門調査会」座長代理(2009-2010)
政府「電子政府評価委員会」座長(2006-2010)
政府情報セキュリティ政策会議「情報セキュリティ基本計画検討委員会」委員長(2008)
文部科学省「先導的情報セキュリティ人材育成推進委員会」委員(2011-2012)などを歴任。

著書
『複合的ネットワーク社会』(有斐閣)
『Digital Economy And Social Design』(Springer-Verlag,) など